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新英語教育研究会神奈川支部HP

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ルター、学校に行く(共学編1~21)

●ルター、学校に行く(その1~22)です。
共学で中1(7月まで)、高1(9月まで)、高3(12月まで)を担当しました。
オススメは…
・その17):他動詞としてのwinの使い方と自動詞としてのfightの使い方
・その22):生徒を助ける「3枚のお札[ふだ]」の話

では、2003年4月から12月までのルターの奮闘ぶりをお楽しみ下さい。

2003-4-11  ルター、学校に行く(その1):someを救出?
 会報担当は自称「英文法界のマルチン・ルター」と称している。そしてこの日記でも「ルターの冒険」と題して、冠詞について救出(?)してきた。
 しかし、それは机上の空論(!)で、このところ本当に中高校生に教える機会がなかった。ところが4月から中高の講師になったので、教える機会が生じたのだ。やったー、と喜んだルターは、昨日が初めての授業。現実の世界でsomeを救ってやりたい、という日頃の願いが叶う日が来たのだ。そして自己紹介を兼ねて板書解説をやってみた。「冠詞って何?」「無冠詞って?」という疑問を口にする生徒たち。「すまなんだー、すまなんだー」と心の中で謝りながら、説明を続けた。40分過ぎて説明が終わって、わかってくれた人も出てきたようでホッとした。(2002.12.11の日記参照)
 「犬が好き」ってなんて言いますか、と問うと、2クラスともI like a dog.という答えがかえってきた。
 I like dogs. I want a dog.抽象から具体へ。次の授業ではこの流れを押さえさせたい。

2003-4-15  ルター、学校に行く(その2):電子辞書の普及率にビックリ
 
 高3の生徒、約100人にアンケートをとった。すると55.8%が電子辞書を持っていた。うーむ。「mileは左右で歩いて千歩」などの原義や「後ろに[post]置く[-pone]と言う意味なのでput off(離しておく)「延期する」とほぼ同じ意味のpostpone」などの語源がどれだけパッと目にはいるか。私はそんな寄り道があってこそ、辞書は楽しいと思っている。いかに紙の辞書の楽しさを説くか。これが今後の私に問われている。

2003-4-16  ルター、学校に行く(その3):今日は助動詞
 高3のクラスで助動詞を扱った。
 現在時制において助動詞の過去形は過去の意味がない。
 すなわちcan「できる」の過去形could「(やろうと思えば)できる」「ありうる」だ、と強く念押しした。
 I am so hungry that I could eat whole loaf of bread.
 「パン一斤、(やろうと思えば)食べられるくらい、おなかがすいている」
 この例文で、could eatはcan eatと異なり、「食べる」とは言っていない。助動詞の過去形を使って、「する」とは言わない技術について話したら、納得してくれた人もいたようだ。
 疲れ切って帰ろうとしたところ、高1のクラスの女の子が「あー、先生」と声をかけてくれた。私が浮かない顔をしているのをみて「どうしたの、先生。暗いナー」と言って微笑んだ。私の方が子どもだなー、はずかしい。

2003-4-17  ルター、学校に行く(その4):今日はティームティーチング
 今日は日本人教師2人、ALTのアンさんとでティームティーチング。高1の授業で自己紹介。ロンドン出身のアンさん、なんと昨年OBE(Order British Empire)というメダルをエリザベス女王から直々にもらったという。政府に2年勤め、その間にロンドンのホームレスの人に仕事を見つけ、今ホームレスがいなくなったいう。その功績に対して、だそうだ。同じメダルをハリーポッターの作者J・K・ローリングももらっているという。「まったく違う環境の国に来たかった」という理由で1年間のみ日本に来たアンさん。とても気さくな素敵な女性だ。
 生徒たちからもさまざまな質問があった。またその報告は後日。

2003-4-21  ルター、学校に行く(その5):今日は時制
 高1のクラスで時制を扱った。
 現在時制と過去時制。
 現在時制で現在進行形は未来担当で「(これから)~する」という意味。
 Where are you going?「どこ行くの」
 予定:I am going for a haircut.「散髪に行きます」

 未来だからといって,willを使うとこの場面では不適切。
 その場での決意:Iユll go for a haircut.「(では/じゃあ)散髪行こう」
 willはその場で情報を得て「(では/じゃあ)~しよう」という決意を述べているに過ぎない。
 このような説明をしたところ、鋭いK・Tくんが「今まで習ったことは意味ないんですか?」と質問した。
 「そういうことではなくって」とお茶を濁した。本当は「地動説が事実だからと言って、天動説が意味がないわけではない」あるいは「電子雲が実態に近いからと行って、わかりやすいラザフォードモデルが無意味ということではない」と言いたかった。これだと、ますますわからなくなるのでやめておいた。
 いずれにしろ、今が英文法のパラダイム転換期なんです。

2003-4-23  ルター、学校に行く(その6):中坊公平『中坊公平・私の事件簿』集英社新書
 中坊公平[なかぼう こうへい]さんのこと、知っていますか、と高3の120名に問いかけた。みんなポカンとしている。森永ヒ素ミルク事件は1クラスで3名ほど知っていたが、1985年豊田商事事件は「生まれる前だ」という反応で知っている人はゼロ。そういう現実よりもきつかったのは、話をし始めたら「これ、英語の時間だよね?」「結局、なにが言いたいの?(So what?)」と言うメタ判断の連発。これは堪[こた]えるよ。
 そういうメタ判断で人を切り捨てる発想を直すには、まさに中坊さんが担当した、森永ヒ素ミルク事件の被害者のお母さんたちの思いが効くと思って話し始めたのだが。そして中坊さんが担当したような、悲しい事件が2度と起きないように啓蒙したかったのだが。
 中坊公平さん、永六輔さん、黒柳徹子さんなど、さまざまな困難にくじけず、語れない人たちの代わりに「代弁」している人たちがいる。そういう人たちの後列に並べるか、私自身が試されている。くじけないぞ。

2003-4-25  ルター、学校に行く(その7):Michael Swanについて
 英語の語法書を著したMichael Swan。今日は左右に座っていらっしゃる先生方にスワンの話をしたら、お2人ともブリティッシュ・カウンシルの講演会でスワンに会ったことがあるそうでビックリ。ルターを名乗っている割には、世間知らずもはなはだしい私。井の中の蛙が大海に出てびっくりの毎日です。

2003-4-28  ルター、学校に行く(その8):「セレンディピティ」
 「セレンディピティ」は、ノーベル化学賞を受賞された野依教授が講演されるときに好んで使っていることばである。今日は高1のみなさんに「セレンディピティ」って、知っていますか、と問いかけてみた。問題意識をあたためつづけていると、その問題解決の糸口になる邂逅がある。それを称して「セレンディピティ」というのである。偶然の出会いが奇蹟を呼ぶ。しかし話のポイントは問題意識の有無だと思う。「セレンディピティ」の前提には問題意識がないとダメなんだ、という話。
 という前振りで、冠詞について話し始めた。私にとってのセレンディピティはソシュールの連合と統合の概念との出会い。(ノーベル賞はもらえないかもしれないけれど。)

(詳細は日記部分の「ルターの冒険」[2002-12-4からのシリーズ]にあります)

●参考:「セレンディピティ」(読売新聞朝刊2002.2.14)は、『セロンディップの3人の王子』[セイロン(今のスリランカ)の3人の王子が波瀾万丈の旅をする物語]にちなんでいる。17世紀のイギリスの作家ウォルポールが王子たちが偶然と不思議な能力に導かれ、思わぬ発見をしたことから造語。「おもいがけぬものを発見したり、その発見がすごい成果を生んだりすること」や「そういう発見をもたらす運を招き寄せる能力を持っていること」をいう。

2003-4-30  ルター、学校に行く(その9):K副校長とルター、歌謡曲を語る
 先日の歓送迎会でお話しして以来、ルターはK副校長と親しくお話しさせていただいている。今日はルターが以前に雑誌に書いたクイーンのRadio Ga GaとBicycle Raceについての記事をみていただいた。K副校長は現代の歌謡曲は現代詩だ、という認識をもっていらっしゃって、作詞では松本隆さんや中島みゆきなどにも注目している。松本隆さんの名前が出たので「あの太田裕美が歌っている「たんぽぽ」が好きなんです」と言ったら、「知ってるよ」というお答え。うれしかったー。(2002-11-23に「たんぽぽ」の歌詞があります)

2003-5-6  ルター、学校に行く(その10):ルター、叱られる
 今日は高3の授業で、授業が終わって女生徒がルターのところにやってきた。質問かな、と思ったら「先生、うるさいときは叱ってください。授業中、一回も叱らなかったでしょう。言わないとわからないです」と言われた。たしかに男子生徒が騒がしかった。ルターはそこで「すみません」と謝った。
 叱らなかったことを叱られるというメタ的体験。そういう方に意識がまわってしまうルター。病気だなー。
(PS. もちろん反省して、次の時間は「静かにして」と言いましたよ)

2003-5-8  ルター、学校に行く(その11):今日は派生語
 今日は初めて、高3に30問の小テスト。小テストといえども、ルターは乱取りをいきなりさせるのではなく、体系的理解を促したいので工夫している。
 すなわち、
 -ationと書いてある行のところに、以下の動詞とスペース(空欄)がある。
educate / admire / transport / consider / interpret
 -itionと書いてある行のところに、以下の動詞とスペース(空欄)がある。
recognize / add / define / compete / repeat
ということで、
-ationだから、
educate / admire / transport / consider / interpret
education / admiration / transportation / consideration / interpretation
-itionだから
recognition / addition / definition / competition / repetition
のようになる。
 つづりに変化が必要な箇所には下線がひいてある。
-ation / -ition / -tion / -sion / -ment / -alで5問ずつ。
-mentはサービス問題でただ-mentをつければよくなっている。
 平均25点ぐらいかな。こんなかんじでやってます。

2003-5-9  ルター、学校に行く(その12):高1の教室で
 電子辞書を持っている男子生徒2人がワイワイ騒ぎながらsexという単語を引いていた。私に向かって「sexは動詞じゃなくって、名詞なんだよね」と自信を持って語る生徒。時代が変わっても引いてみる単語は同じなんだなーと感心していたら、そのうちの1人が「この電子辞書、検索履歴は消せるんだ」と言って、その場で消して見せた。sexという語を引いていたということ、いったい誰にみられるというのだろう? でも、とにかく消去。ほほえましかったなー。

2003-5-10  ルター、学校に行く(その13):count sheep「ヒツジを数える」
 中1で
 What animals do you like?(なんの動物 好きですか?)
 I like dogs.
    cats.
    sheep.(単複同型)
    fish.(単複同型)
ということで、ヒツジは
 one sheep , two sheep, three sheepと数えると話した。
 そこで「眠れないときにヒツジが一匹、のように数えるというのを知っている人」と訊ねたら、ほとんどの生徒が元気良く手を挙げた。
 「実際に数えたことのある人」はほぼ同数、
 「それで眠れたという人」はゼロか居ても2人。
 「さて、何故数えても眠れないのか? それは日本語でヒツジが1匹、ヒツジが2匹と数えたからなのです。
 sheepは単複同型、発音はシープです。
one sheep , two sheep, three sheepと数えると、シープ、シープ、シープ、すーすーすーと眠れると言うことなのですね。」と説明すると、みんなビックリ。
 これぞ、文化の伝播で生じがちな大いなる誤解。(みうらじゅんのいうところの「伝来ミス」ですね。)

2003-5-13  ルター、学校に行く(その15):今日は分詞の使い方+金子稔さんの『現代英語・語法ノート』(教育出版)
カーペンターズの「Please Mr. Postman」に以下のような歌詞がある。
Iユve been standing here ここでずっと立っている
waiting, Mr. Postman, so patiently 待っている…こんなにがまんして
for just a card or just a letter ハガキや手紙を
saying heユs returning home to me 彼が私のもとへ帰ってくると書いてある…

「a letter...とはどんな手紙?」とaで予告しておいて、分詞で説明する。
 その時に*a letter that heユs returning home to meのようにはできない。
sayingなどでthat節をつながなくてはならない。
いわゆる「同格のthat」が使えるのは「見出し」と言えるような抽象名詞である。
 the fact that ...「~という事実」
 the dream that ...「~という夢」

 「~が~している写真」は
a picture of me「私の写真」
a picture of me playing tennis「私がテニスしている写真」
 のように文を拡大するとわかりやすいが、これも*a picture that...のようにしない。
 これは金子稔さんの『現代英語・語法ノート』(教育出版)に解説がある。この本、お薦めです。

2003-5-12  ルター、学校に行く(その14):新ルール?
 高1の小テスト(be動詞と一般動詞)で20分、少人数(20人)で行った。
 いつまでも前後で教え合う生徒、「drinkの過去形って、drankだっけ。aだっけー」と大きな声で言う生徒。教員に質問して答えを大きな声で口にする生徒。どのクラスにも何人かいて、閉口した。
 いつからそんなことしていいことになったんだ? 新ルールか? 
 そこで学習してもらえればいい、とも思う。しかし無節操すぎる。
 こういう無節操を力で押し込めればアメリカ・イギリスになってしまう。礼節をわきまえさせたい。
 加えて、女子のことばがメタ判断+暴力的なのが気になる。とりつく島がない。素直に騒いでいる男子の方がわかりやすいし、ほっとする。日本の諸問題が教室に一気に噴出している。いやー、がんばらないとな。


2003-5-15  ルター、学校に行く(その16):とりつく島がない
 今日は高1の会話の授業。Who is your favorite movie star? という質問をしたら、「とくにいない」という受け答え。
 そこで「そういう受け答えは『とりつく島がない』から、好きな俳優はいないが映画は好き、とか、映画は観ないが音楽は好きとか、相手の気持ちに合わせて話を足そう」と話し、『とりつく島がない』と板書した。そこで女生徒が『とりつく島がない』ってなんですか、という質問。そう来ると思ったので板書したんだけれど、日本語学習の方が先だよな。

2003-5-31  『ルター、学校に行く(その17):他動詞としてのwinの使い方と自動詞としてのfightの使い方
 高1の授業。不規則動詞変化表でwin-won-wonが出てきた。

●他動詞としてのwinの使い方=他動詞winにはgetの意味がある
winという動詞は「勝つ」という意味があるけれど、win ~「~を勝ち取る」ということで他動詞の使い方に特長がある。
 すなわち、get~「~を手に入れる」に似ている。
win the World Cup「ワールドカップで優勝する」とは優勝杯のカップa cupを手に入れることであり、
win the pennant「ペナントリーグで優勝する」とは三角の旗のようなペナントa pennantを手に入れることである。
 このように日本語では「ワールドカップで~」とワールドカップを場所のように表現しているが、英語圏の人は優勝杯を手に入れることを考えているのだ。そういった間接的な日本語の言語態度がサッカーの試合におけるシュートの決定率の低さに反映しているように思えてならない。

●自動詞としてのfightの使い方=自動詞fightにはbeやhaveの意味がある
昨年9.11のアメリカでのブッシュを横にしての小泉首相のスピーチ。
小泉首相はWe must fight terrorism.と言っていたが、againstを入れた方がよかったかどうか? 「fight terrorismかfight against terrorismか?」考えてみてください。

(1)have「持つ」に近いfight
 suffer「被る」などと同様に、fightにはhaveに似た使い方がある。
They fought the Second World War. 第2次世界大戦を闘った  
They had a quarrel. けんかした。
(2)argue with ~に近いfight with ~
She fought with him. ~と闘った
She argued withhim. ~と議論した
(3)be against ~「~に反対だ」に近いfight against ~
We must fight against terrorism. ~と闘わなくてはならない
We are against terrorism. ~に反対している
(4)for ~「~を求めて」
They fought for human rights. ~を求めて闘った
They struggled for human rights. ~を求めてもがいて闘った
They asked for some money. ~を求めた
(5)for ~「~の代わりに/~のために」
He fought for his country. ~の代わりに/~のために
He works for Sony. ~の代わりに/~のために

参考The government is determined to combat international terrorism. (L3)

2003-6-2  ルター、学校に行く(その18):提示の仕方を考える
 今日は高1で複数形の復習。それにThere is/are...の使い方をリンクさせた。
●複数形の作り方は上下で提示するとよい
 従来の表組はこんな感じだ。
 -esをつけるもの:boxes / classes....
 ミiesにするもの:babies / ladies...

 これだと英語が苦手な学習者にとっては取っつきがわるいのではないだろうか?
 そこで、ルターは以下のように提案したい。
   box class
 -es:boxes classes ....

 子音+y baby lady
  ミies:babies ladies...

 こうすれば明快だ。
●There is/areの作り方はシフトさせていく
(so manyからHow many apples,,,へ、so muchからHow much milk,,,へ、シフトするのがミソ!)
(a) 数えられる名詞
There is an apple on the table.「テーブルの上にリンゴがある」
There are some apples on the table. 「テーブルの上にリンゴがある」
(ちなみにsomeを落として、There are apples on the table. としてしまうと「テーブルの上に(ナシやミカンではなく)リンゴはある」のように聞こえてしまう)
There are a lot of apples on the table. 「たくさんのリンゴがある」
There are so many apples on the table. 「そんなにたくさん」
How many apples are there on the table?「どのくらいたくさん」
(b) 数えられない名詞:量を計るもの[ひとかたまりと見なすので複数扱いしない]
There is some milk in the bottle.「ビンに牛乳がある」
(ちなみにsomeを落として、There is milk in the bottle. としてしまうと「ビンの上に(紅茶やコーヒーではなく)牛乳はある」のように聞こえてしまう)
There is a lot of milk in the bottle.「ビンにたくさん牛乳がある」
There is so much milk in the bottle.「そんなにたくさん」
How much milk is there in the bottle?「どのくらいたくさん」

 とまあ、こんな感じです。

2003-6-3  ルター、学校に行く(その19):「creatureとliving things」から「母語と母国語」へ
 高3の授業でローレンツ博士の「刷り込み」(カモが初めて見た生き物を親と思って後追いする)の話が出てきて、本文中にthe first living thing they see(カモが最初に見た生き物)というフレーズがあった。そこで「creatureには生物という意味があるが同時に神の創造物というキリスト教的な文脈がある単語なので、それを嫌う人はliving thingsという、文字通り『いきもの』というそのままの表現を使う。ということでliving thingsには『自分はキリスト者ではないという主張が含まれている』んだよ」と解説した。
 そこで「言葉の使い方でその人の意識がわかる。」と前振りをして以下の説明を簡単にした。今日は本当の意味で「教育」が実践できた。

●「母語」と「母国語」は違う:母語[ぼご](mother tongue)は、生得言語(native language)ともいわれ、その人が最初に獲得した言語。母国語という用語は「国」という語を含むため、母国語と母語が一致しない人が出てくる。そこでPC(politically correct / political correctness[政治的な正しさ])を意識して「母語」という人が増えてきている。
 解説:「母語」という用語を提唱したのは田中克彦『ことばと国家』岩波新書(1981年)だと思うが、北海道の少数民族ウイルタ(オロッコ)の人々は母国は日本だが、オロッコ語は、日本国の言葉(=日本語)とは一致していないので、「オロッコ語は母国語」というと矛盾がある、という指摘が広く認められるようになって、現在に至る。

2003-6-9  ルター、学校に行く(その20):なぜdecisionとmake a decisionのように動詞を名詞化した表現があるのか?
 高3の中間テストの答え合わせ。派生語の指導でdecide / decision、contribute / contributionのように教えた後で、「なぜdecisionとmake a decisionのように動詞を名詞化した表現があるのか?」という話をした。
 私が高3のときに習ったK先生は私たちに同じ問いを発した。そしてK先生が教えてくれたことを感謝している。
 K先生はこういった。「英語は(動詞を修飾する副詞よりも)名詞を修飾する形容詞が発達しているからだ」と。
 なるほど、名詞の前に形容詞1語をつけて、
 make a firm decision「確固とした決意」のように言ったり、
 名詞の後に、形容詞句(不定詞/分詞)・形容詞節(関係詞を用いた節)をもってきてもいいわけだ。
 ありがとう、K先生。

2003-6-12  ルター、学校に行く(その21):インタビューゲーム
 今日は高1のクラスでALTのアンさんといっしょのティームティーチング。How do you feel?をテーマにインタビューゲームをした。以下の質問が書いてあるインタビューシートでインタビューした相手にサイン(自筆)をもらう。
点数はインタビューする相手が「男同士/女同士なら1点」「男子?女子なら2点」「先生なら3点」。ほとんどの生徒が活発に動いていた。他の先生に教えていただいた方法だが、今までにない反応の良さ。やっぱりアドバイスを求める事って大切ですね。
 How would you feel if someone saw you taking a shower?
Iユd feel embarrassed / offended / upset.
「あなたがシャワーを浴びていて誰かに見られたら、どんな気持ち?」の回答例は「どぎまぎ/怒って/気が動転」になっていたが、数名の男子がHappy.「うれしい」とワークシートに答えていた。おちゃめな人たちである。

How do you feel when your favorite team wins the game?
I feel pleased / excited / glad.
How do you feel when you see a cockroach in the kitchen?
I feel scared / frightened / disgusted.
How do you feel when someone breaks your bike?
I feel angry / annoyed / shocked / irritated.
How do you feel when you bang your head?
I feel sad / hurt / surprised.
How do you feel when you read a newspaper?
I feel interested / bored / worried / inspired.

How would you feel if you were given a present?
Iユd feel happy / pleased / surprised / delighted.
How would you feel if you lost your pet?
Iユd feel upset / hurt / sad.
How would you feel if you saw a celebrity?
Iユd feel amazed / excited / cheered.
How would you feel if you saw a snake?
Iユd feel frightened / scared / worried.
How would you feel if you passed your test?
Iユd feel relieved / amazed / satisfied / proud.
How would you feel if you failed your exam?
Iユd feel sad / disappointed / worried / ashamed.
How would you feel if someone saw you taking a shower?
Iユd feel embarrassed / offended / upset.



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